File.020
「孫六」の鰻丼
(岐阜県関市 国道418号線沿い 刃物会館向かい)

 中部地区のうなぎは、基本的には「蒸し」を省いた関西風。関東風のような上品さはないが、素材の良さをストレートに味わうにはこちらに軍配があがると思う。さて、中部地区にあっても、ひときわ素材の旨さを楽しませてくれるのがこの店だ。

 ここのうなぎは、焼き方が他店とはちょっと違う。普通の店ならば強火の遠火でじっくりと、余分な脂を落としながら焼くところを強火の近火で短時間で(3〜5分程度で)焼き上げるのである。その結果、うなぎはきわめて濃厚に、ジューシィに、表面はパリッと香ばしく、中はふっくらと仕上がる。もちろん炭火を使っているから、生焼けなんてことはない。「うなぎというサカナは、これが本来の味か!」と気づかせてくれるはずだ。養殖とはいえ質の良いうなぎを使わなくては、この味にはならない。最近とみに味が落ちたと評判の***のようなやせ細ったうなぎでは、楽しみは半減することだろう。

 サカナの味は濃厚だが、タレは中部地区の店としては甘さが抑えられている方だ。うなぎを一度味醂に漬けるような恐ろしいこともやっていないので(やっている店はごめんなさい。個人的に嫌いなんです、甘ったるくて)濃い味が苦手という人でも、意外と食べられるのではないか。
 鰻丼には並・上・特とあるが、うなぎの量が違うだけなので、初めての人は並で味と量を確かめるのが正解だろう。特ともなると、1年分くらいのうなぎが乗っているぞ。

 ところでこの店、昨年までは関市街地の片隅にあり、旧家を改造した古めかしくて小さな、15人程度で満席の店だった。ご主人のうなぎを焼く姿が、カウンター越しに丸見えだった。(なんと扇風機を団扇がわりに使っていた)知る人ぞ知る「隠れた名店」の雰囲気が、ぷんぷんと漂っていたのである。ところが今の場所に移転してからは100人は入れそうなくらい広くなり、冷暖房も付いて快適になった。おかげで店の方も大繁盛になって万々歳なのだが、昔のひなびた感じを懐かしむのは、私だけではあるまい。しかし、移転の理由をたずねた時のご主人の「娘の旦那が後を継いでくれることになったもんで、もうちょっとお客のたくさん入れる店にしなくてはあかんでね」という嬉しそうな顔を見ちゃったからには
 ・・・味は変わっていないから、しゃーないな・・・とため息をつかざるを得ないのであった。

2000/07/23 佐藤ノブヲ


 

File.019
奥美濃・飛騨の豆腐のこと

 旨い水がなければ、旨い豆腐はあり得ない。これは小学生でも理解できそうな真理である。
 では「水のうまれる場所」である奥美濃や飛騨に、旨い豆腐はあるのか。答はイエス。もちろん水の旨さだけに頼っているわけではない。きちんとした素材(といっても大豆とにがり程度だが)を使い丹精込めて仕込んだ逸品を見つけることができる。

 その代表格といえば宮春(清見村夏厩・国道158号線沿い)であろう。名水豆腐としてマスコミにも多く登場する有名店だが、確かに旨い。個人的おすすめは天然にがりを使った「にがり豆腐」と地元素材にこだわった「岐阜大豆絹ごし豆腐」だ。「にがり豆腐」は淡く洗練された木綿豆腐で、あらゆる料理に合う。「岐阜大豆絹ごし豆腐」は濃厚かつなめらかで冷や奴に最適だ。
 また充填式豆腐は1週間ほど日持ちがするため岐阜市内のスーパー(バロー)でも買い求めることができる。いささか有り難みは薄れるが、これもなかなか旨い。
 なおここは食堂も設置されていて、できたての豆腐料理を食べることができる。ただし私としては、同じお金を使うならいろいろな種類を買って帰り(ここは種類がとても多いのだ)、食べ比べた方が楽しいと思う。

 もう一軒あげるなら、下広豆腐店(明宝村畑佐の集落内)はどうだろう。ここの「木綿豆腐」は大豆の味の中ににがりの風味をほんのり感じる、言うならば昔ながらの田舎豆腐だ。いっぽう「寄せ豆腐」は、そのままフルーツソースでもかけて食べたいほど大豆の甘みが強く、またなめらかな食感が楽しめる個性派である。

 さらに、実はRFC名古屋メンバーが口を揃えて「最高!」とうなる豆腐が存在する。それはFile.001広家の夏期メニューとして冷や奴で提供されるのだが、まったく普通の木綿豆腐のくせに、水と大豆の味がきりっと立って平伏したいくらいの旨さだ。これ以上の豆腐を、私は知らない。しかも広家のおばちゃんは肉の仕入先は教えてくれるくせに、この豆腐の仕入先は「高山近辺」というだけで頑として教えてくれないのである。おそらく、結構普通の下町の豆腐店だろうと勝手に推測しているのだが・・・?皆さんもまずは広家でその美味をお確かめいただきたい。そしてもし仕入先を聞き出せたら、ぜひとも教えてほしい。
 (追記)最近、広家の豆腐は上記の木綿豆腐から、絹ごし豆腐に代わってしまった。それでも普通以上に旨いのだが、以前ほどの感動はない。残念。聞けば「絹ごしの方がお客さんの人気が高い」からだとか。う〜ん、世間には豆腐の醍醐味を知らない人間が多すぎる!

 今回のネタは、バスデイキャンプでお会いした中林さんにご推薦いただきました。どうもありがとうございました。

2000/06/19 佐藤ノブヲ (2001/11/11 一部修正)



下広豆腐店。
店の前に湧水が引いてあり
自由に飲める

File.018
「トランブルー」のパン
(岐阜県高山市 国道41号ちょっと東)

 今回は珍しくお洒落な店を紹介しよう。
 トランブルーはいわゆるベーカリー、焼きたてパンの店である。しかも本格的な石釜まで使っている、そうとう気合いの入ったパン屋さんなのだ。味の方も、砂糖やクリームでごまかすようなことはせずあくまでも小麦を主役に、ひとつひとつの素材をいかしている点に好感がもてる。だからこそ、いわゆるフランスパン類やクロワッサンなどの基本的なアイテムが光る。また具の入ったパンも甘さ控えめだったり、洋酒を効かせていたりと、大人の味付けだ。
 飛騨高山という場所柄、色眼鏡で見られがちだがどうしてどうして、レベルは中部地区でもトップクラスだと思う。松坂屋本店南館のポール(まったくもってフランス風のパン屋。私は大好きだが、日本人にあまり迎合していないので敬遠する人もいる。)が好きな人なら、きっと気にいってもらえると思う。でもポールの味ともまた違うのだが。間違っても焼きそばパンなど期待していかないように。

 場所は国道41号線沿いの大型ショッピングセンター・ピュア高山の裏手だ。看板は小さいが、レンガ造り風の一戸建てなのですぐ分かると思う。

1999/12/08 佐藤ノブヲ



喫茶店と間違えそうな建物

File.017
「水の駅」のエビかき揚げ
(滋賀県西浅井町 国道8号線沿い)

 今回は琵琶湖と滋賀県の珍味美味を食べて買える場所を紹介しようと思う。
 奥琵琶湖・塩津ワンドから国道を少しだけ北にいったところにあるライスセンターの敷地内で土・日曜だけ営業している特産品販売所、その名も「水の駅」である。なんとも手作り感覚の素朴な店構え(というよりも屋台風)で地のもの以外は扱っていないという潔さがうれしい。
 商品は新鮮野菜から大福、名物の鮒寿司や鴨、ゴリ佃煮などさまざま。なかでも私のお勧めが、その場で作る琵琶湖産小エビ(湖産エビとかシラサエビとか呼ばれてるやつね)のかき揚げ。特に凝ったところもない田舎料理なのだがその分素材の滋味がしみじみと味わえる逸品。しかも1パック300円と安い。これまた最近では琵琶湖特産となったワカサギの天ぷらと(なぜ琵琶湖に?という疑問はあるのだが・・・)一緒に求めるのもいいだろう。もう気分はブラックバスである。
 また先日訪れた時にはビワマスの卵巣をピリ辛の醤油漬けにしたイクラなどという珍味中の珍味としか言いようのない品も売られていた。
 ほとんどの食品はその場で味見もできるので、じっくりと選んでほしい。

1999/10/19 佐藤ノブヲ


 
File.016
「ニュー柳屋食堂」のとんちゃん
(岐阜県美濃市 新美濃駅跡そば)

 美濃の中心街は「うだつのある街」として観光客にも人気。そのはずれ、今は廃駅となった名鉄新美濃駅そばにある、ジモティおなじみの店がニュー柳屋食堂である。
 ここは焼肉メニューのほかに大衆食堂的メニューも豊富なのだが何と言っても看板は「とんちゃん」ただしここのとんちゃんは、普通の焼肉店のようなタイプではなく豚の内臓のさまざまな部位がミックスされており、コチジャンをベースに(だと思う)ピリ辛に味付けされている。それをテーブルに据えられた鉄板で焼いていただくのだ。
 ・・・そう、あちらは牛だが
広家の「もつ」(File.001)と似たスタイルである・・・
 さて、常連はここのとんちゃんに、別注の野菜をプラスする。もやし、キャベツ、ミックスなど自由に選んで、混ぜて焼くのだが、何をどれだけ混ぜるかは、柳屋ファンの間でも意見が分かれるところらしい。ちなみに私のお気に入りは、とんちゃん3人前に野菜ミックス2人前だ。

 なお、肉を焼くの作業は店員さんが全部やってくれる。腕前にはかなりプライドをもっていそうで、へたに手を出すと怒られそうなくらい。(まさか怒鳴られはしないだろうが)この、指をくわえて待つ時間の長く感じること!

 肝心の味の方はと言うと、ピリ辛なのは先にも書いたが、ニンニク等の隠し味もかなり効いているらしく、それが豚の内臓独特のクセと調和して、パンチのある大人の味という感じだ。ご飯よりもビールに合いそうな感じである。
 もちろん他にも焼肉メニューは豊富で、しかもそれぞれ味付けが違うのが嬉しい。中でも私のおすすめはコリコリとしたテッチャン、塩コショウ+ピリ辛でいただく豚角切り。そして驚くほどジューシーな牛タン
 しかもあれやこれや頼んでたらふく飲み食いしても1人2000円ちょっとという庶民価格なのも魅力である。
 美濃インターにも近いので、板取川あたりの帰りに一度どうぞ。

佐藤ノブヲ


 

File.015
「パスカル清見」のドレッシング
(岐阜県清見村 せせらぎ街道沿い)

 奥美濃と飛騨高山を結ぶせせらぎ街道。郡上方面から北上して有料の「坂本トンネル」を抜けると、坂を下りたところに道の駅・パスカル清見がある。
 今回のおすすめはここのオリジナルの土産品「パスカルドレッシング」だ。和風しょう油味の「ごま風味」、クリームタイプの「わさび風味」「からし風味」イタリアンタイプの「ハーブ風味」と4種類があるが、どれもなかなかに旨い。製造はどこか大手のOEMメーカーなのだろうが、それを感じさせない個性もある。
 特に我が家のお気に入りは、マスタードの香りが食欲をそそる「からし風味」また佐藤氏は香ばしくてちょっと甘めの「ごま風味」が好きで、サラダだけじゃなく冷や奴やカツオタタキにも使っているとか。
 値段も(たしか)1本380円(小瓶。大瓶もある)とほどほどで、どっさりとまとめ買いしていく人や、通販で求める人もいるようだ。
 ここのレストランで食事をすれば、4種類のドレッシングはかけ放題なので、味を確かめてから買うのもいいだろう。

 なお明宝村の「するすみの里」など、近隣の道の駅等でも買うことができる。

ノーリー浦嶋


近日中に写真入れる予定です
File.014(番外編)
高原川行くなら宿は「かつら木の郷」
(岐阜県上宝村 福地温泉)

 奥飛騨温泉郷(平湯・新平湯・福地・栃尾・中尾・新穂高など上宝村の温泉街の総称)は高原川・蒲田川流域に広がっており、これらの河川に泊まりがけで釣りに行く際には利用する方も多いと思う。この地域に素晴らしい宿を発見したので、本稿で番外編として紹介したい。

 福地温泉は奥飛騨温泉郷でも最もひなびた、かつハイグレードな宿が集まる場所として旅好きのみなさんの人気を集めている。季節や曜日を問わず予約が難しい人気旅館も少なくない。その中でも一・二を争う名旅館として知られているのが湯元長座。そして1998年夏、その別館として「かつら木の郷」なる宿が誕生した。
 1999年4月17・18日、我々(大野・浦嶋・佐藤)は初めてこの宿を利用した。そして、その素晴らしさに圧倒されたのである。
 まず建物。新潟の旧家を移築したり、飛騨の廃屋から材木を集めたりして造られた佇まいが素晴らしい。随所に飾られた生け花やオブジェも、民芸調と現代性がうまく調和して気が利いている。
 しかも広々とした敷地・庭園に、客室は10しかない贅沢さ。客室はほとんどが静かな離れ形式で、囲炉裏を備えている。風呂は言うまでもがな(ひのきの内湯と露天。家族風呂も2室ある)。
 炉端の食堂(個室)でいただく料理は飛騨牛炭焼、イワナの刺身、山菜など地元の味。それでいて洗練さと独創性も感じられ、文句なしに旨い(2001年3月に訪れた時には、さらに洗練度が高まっていた)。器は地元の陶芸家の作品だが、これがまた料理との相性がいい。
 顧客サービスに関してはさすが湯元長座の別館、隙がなく、それでいて温かい。女将さんや仲居さんが若いことも、スケベ親父にはうれしい限りだ。
 ・・で、値段はどうかというと、1人1万7000円から。我々の泊まった部屋で2万円。奥飛騨では高い部類だが、福地温泉の旅館としては標準的な価格。我々の共通した感想は「それでも安い!箱根あたりなら5万円とられてもおかしくない」である。「この宿は主人の道楽でやってるんじゃないの?」という声も出るほどだ。

 収容力の小さな宿だけに、大勢で行くには適さない。子供連れも似合わない。しかし大人のひっそりとしたプライベート旅行には、最適だと思う。(もちろん場所が場所だけに北アルプス観光や飛騨高山観光、スキーの宿にもいいが)薄汚いフィッシングウェアで行くのも気が引けるほどだが、それでもまた利用しようと、我々は決めたのである。

佐藤ノブヲ (2001/03/04一部修正)



どちらもロビー

File.013
「喜之助旅館」のそば
(岐阜県荘川村 一色川・庄川出合付近)

 喜之助旅館といえば、一色では名旅館として知られた宿。特に山菜を使った料理が旨いという評判だ。
 その旅館が昨夏から、昼間はそば屋をやっている。地元のそば粉を使った(そういえば宿のまわりにそば畑が多数)、十割そば、というのが売り文句だ。で、実際にここのそばは、文句なしに旨い。
 そば粉本来の香りや風味がぞんぶんに楽しめるのに、他の多くの十割そばに見られるような田舎くささがない。しかも、喉越しの清々しさ!職人さんの技術と見識、そして何より水の良さがポイントではないかと、私は勝手に解釈している。中部では珍しい、出汁の代わりに水を張ったおろしそばが品書きに用意されているのもそのあらわれではなかろうか。
 メニューは「ざる」(関東流には「もり」、そばの香りを殺す海苔など乗っていない)以外はあったりなかったりと気まぐれだが、そばとは本来腹をふくらませるためのものではないので、まぁ良しとしよう。また口取りに出る小品が、夏場だと畑からもいできたばかりの胡瓜だったりして、これがまた嬉しい。
 ざるそば1,000円は、この店なら決して高くはないと思う。

佐藤ノブヲ


 

File.012
「如庵」のそば
(岐阜県糸貫町 本巣縦貫道すぐそば)

 根尾川で朝マヅメを釣った私が、帰路に必ずといっていいほど立ち寄るそば店。というよりもわざわざこの店目当てにやって来るほどの店だ。(実は私の自宅からなら、車で20分程度なのだが)
 岐阜市には吉照庵というそばの名店があるが、この店のそばも、その流れを汲んでいる(人的交流があるかどうかは知らないが)。厳選したそばの実を、自家で石臼挽きし、そば粉100%で打つ、いわゆる十割そばだ。・・・つなぎ粉を使わないというのは、実は相当技術が必要らしい・・・お江戸あたりで主流の二八そばも良質なものは旨いが、この手のそばを食べ慣れると、香り、味とも濁って感じられるようになる。まったく別の料理という印象さえ受けるほどだ。

 というわけで、この店のメニューでイチオシは「せいろ」。そばの素性の良さ、なかでも甘みを味わうにはこれしかないでしょう。ほかには、中部地区では意外と出す店が少ない「鴨せいろ」がお薦めだ。ただしそばが単品で楽しめるのは昼間(11時30分〜14時)だけで夜の営業は予約制によるそば会席となる。夜も普通にそばを出してくれれば、夕マヅメまでのんびり釣れるのに。残念。

 場所は本巣縦貫道(R157)の旧徳山村移転地(いわゆる徳山御殿)あたりを、東へ10mほど入ったところにある。縦貫道沿いの柿畑の中に小さな看板が立っているので、探してほしい。

佐藤ノブヲ


 

File.011
「ちとせ」の焼きそば
(岐阜県高山市 高山駅東)

 この店は「焼きそば屋」である。他にメニューといったら中華そばくらい。
 で、その焼きそばは、もう感動的なくらいに田舎臭い。太めのまっすぐな麺、こってりしたソース、少ない具、素っ気ない盛りつけ。それは、いつかどこかの駄菓子屋の店先で、おばちゃんが焼いていたあの味である。もちろん値段も安い。300円台から、高くても5〜600円。
 はっきりいって前時代的な店なのだが(店構えも含め)、それゆえ私たちはここが大好きだ。地元の市民にもこよなく愛されており、いつも大盛況である。そこがまた、うれしい。
 ここには観光客向けに厚化粧した飛騨高山ではなく、純朴な素顔の岐阜県高山市がある。ブラボー!

<2002/03/03追記>和風だしをベースに、ちょっと中華風の薫りもする「スープ」が旨い。単品でも注文できるし、ライスを頼めば付いてくる。教えてくれた中林氏ありがとう。また餃子もなかなか。焼きそば+ライス(&スープ)+餃子でイケてる定食のできあがりだ。

佐藤ノブヲ


大盛り焼きそば+ライスでは
食べきれないほどのボリュームに

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