シュガーディープ90F
=これなくして九頭竜川は語れぬ

 九頭竜川のサクラマスをルアーで釣る。その行為じたいは私の知る限り80年代にはもう存在していた。しかし私が初めて九頭竜川に挑戦した頃、ルアーといえば15〜30gの大きく重いスプーンしか考えられなかった。
 ところが今日、数の上ではミノー派はスプーン派を圧倒した感がある。時代を変えたそのきっかけは、シュガーディープ90Fの登場に他ならない。
 このミノーの誕生当時、九頭竜川のような水勢が強く川幅の広い大河を攻略できるロングビルミノーは存在しなかった。バス用にいくつかのロングビルミノーはあったが、すぐに回転してしまうなど、流れで使えるようなクオリティを持ってはいなかった。「きちんと飛び、きちんと泳ぐ」ことの大切さを、あらためて証明してみせたのである。
 流れを受けると浮いてしまうスプーンでは、根掛かり覚悟で川底を転がすといった、特殊なテクニックが求められた。ところがシュガーディープは基本的に投げて巻くだけで、2〜3mの川底をトレースできる。
 しかも2〜3mも潜るルアーのくせに、シュガーディープは驚くほどリトリーブ抵抗が軽い。これも1日に何百回、何千回というキャストを強いられるサクラマス釣りでは大きな意義を持つ。大型スプーンよりもライトなタックルを使えることも、とっつきやすさやゲーム性という面でプラスに働いた。
 それまでは技術も道具も覚悟もそれなりに備えたエキスパートでなくては釣れなかったサクラマスが、シュガーディープの力で、より多くのアングラーに釣れる魚へと変貌したのだ。逆にそのおかげでサクラマス狙いのアングラーがやたら増えてしまったのは苦笑ものだが。
 こうしてシュガーディープは瞬く間に九頭竜川の定番ルアーとなり、その勢力を全国に広めたのである。トータルバランスの良さは、数多くのフォロワーと比較しても抜きん出ており、昨今の九頭竜川でも、出会うアングラーの半数あるいはそれ以上が使用しているほどだ。

シュガーディープ90F/11.0g 90SP/12.0g  

2002/07/18 佐藤ノブヲ (2006/12/14修正)
(写真提供 トラウトの達人 中林)