トラウトの聖地、道東へ行こう!

 ご存じの方も多いだろうが、我々は毎年数回の道東(本稿では主に釧路・根室・網走支庁を指す)遠征を実施している。理由は簡単、大きなトラウトがよく釣れるから。さらにはスケールの大きな自然を味わうこともできるし、旨い食べ物もたっぷり用意されている。一度道東(いや道北でもいいのだが。それらに比べると道央や道南は釣り荒れている)での釣りを味わってしまうと、本州での釣りに醒めてしまうかもしれない。そこで今回は、初めて道東釣行を考える皆さんへのアドバイス。基本的に中部圏からのアクセスを前提にしているが、格安運賃の種類や現地での行動等は他地域の方も参考になると思う。

プランニング編

●道東にオフはない
 まずはいつ道東に行って、何を釣るのか、という問題。これはもうお好きな時にどうぞ、なのだ。季節や魚種によって若干の規制はあるが、道東では通年トラウトを狙うことができるし、実際アメマスは季節を問わずよく釣れる。秋冬は禁漁が常識の他地域との決定的な違いはここだ。
 ただし1〜3月の冬期には水面が結氷してしまい釣りにならない場所が多い。また4月〜5月の雪代の時期も増水で釣りづらい河川が多い。年により状況やタイミングは変わるが、このあたりの時期は避けた方が無難だろう。

●いつ何が釣れる?
 魚種ごとにおよその釣期を書いておこう。実際は場所によって、年によって変わってくるので、あくまでも目安ということで。
 *アメマス    通年OK
 *ニジマス    5月〜12月
 *ヤマメ     7月〜9月
 *オショロコマ  6月〜11月
 *イトウ     5月〜12月
 *カラフトマス  8月〜9月
 *サケ(チャム) 9月〜11月

●禁漁や規制は?
 道東に限らず北海道の河川湖沼ほとんどに禁漁はない。さらには入漁料も必要としない。しかしいくつかの場所では例外がある。主なものを挙げておこう。
 *忠類川 カラフトマス・サケ釣獲調査 8月〜11月 有料
 *茶路川 カラフトマス・サケ釣獲調査 8月21日〜10月 有料
 *阿寒湖 1月〜11月(ヤマメは7月〜11月) 有料(入漁料は阿寒川と共通)
 *阿寒川(C&R区間含む) 5月〜10月(ヤマメは7月〜10月) 有料(入漁料は阿寒湖と共通)
また次の禁漁魚種・期間が設けられている。
 *サクラマス 河川内全面禁漁
 *カラフトマス・サケ 河川内全面禁漁 忠類川・茶路川のみ釣獲調査という形式で釣り可能
 *ヤマメ 5月〜6月(道北も同じ、道央・道南は4月〜5月)
 最近は海アメ、海サケ、海サクラも人気だ。河川内と違ってそれらは自由に釣ることができる。ただしほとんどの河口部沿岸には禁漁区間&期間が設けられているので注意したい。期間は河川により異なるが、サクラマス遡上およびカラフトマス&サケ遡上のピーク期間が充てられている。

●サーモンフィッシングをするには
 道東でサーモン(カラフトマス・サケ )フィッシングができる河川は忠類川(標津町)と茶路川(白糠町)のみだ。これらの河川でサーモンを釣るには事前申し込みが必要になる。なお申し込みさえすれば誰もが釣りを認められるし、日時指定等も一切ない。申し込み後に送られてくる承認証さえ持っていれば、ふらりと立ち寄ってすぐ釣りを始めることができる。手取川あたりよりは、よほど自由なシステムだ。利用料金(平たく言えば入漁料)は1日2,500円程度。
 特にオススメなのが忠類川。釣り可能なエリアが広く、魚影も濃い。しかもC&R区間が設定されており、ここで釣りをするぶんには何尾釣ってもかまわない。河川に遡上したサーモンは旨くはないからキープする価値などほとんどないのでC&Rが正解。茶路川や、忠類川でもC&R区間以外ではリリース禁止で、しかも5尾釣れた時点で釣りをやめなければならない。

●おすすめのシーズンは9月!
 未経験の方に我々がオススメする道東遠征のシーズンは初秋、ずばり9月だ。この時期はカラフトマス遡上がピークで、忠類川のサーモンフィッシングが俄然面白い。少し遅れてサケがピークを迎えるが、サケは非常に気まぐれで釣果のムラが大きいので、最初はカラフトマス狙いが無難。またサーモンを追ってアメマスの群れが遡上開始する時期でもあり、良型に巡り会える可能性が高い。もちろんニジマスも楽しい。とにかくどの釣り場へ行っても、どんな釣り方をしても、何らかの釣果が望める季節だ。
 ただし秋の早い道東ゆえ、ヤマメだけはすでに産卵を意識し始めているので釣果に恵まれないと思うけれど。まぁヤマメなら本州にもいるし、道東のヤマメは大型が少ない(ほとんどが海に下ってサクラマスになってしまう)から、あえて狙う必要もなかろう。
 フライでの釣行ならば6〜7月、あるいは10〜11月も捨てがたい。阿寒湖・屈斜路湖という道東の2大レイクで6〜7月はワカサギパターン、モンカゲパターン、10〜11月はカメムシ等のテレストリアルパターンで、良型のアメマス・ニジマスが狙える。有名な阿寒湖の金アメは、モンカゲの時期限定の貴重なターゲットだ。

●釣り情報を収集する
 知らない土地ゆえ、いざ釣りに行こうとなってもどこがいいのか分からない。そこで役立つのが現地の人々からの情報だ。最も確実なのがフィッシングガイドを利用すること。我々も過去何度かお世話になっているTAMARISKをはじめ、道東には何組ものフィッシングガイドサービスが存在する。ガイド料が1日2万〜3万円と安くはないが、利用して損はない。ガイドは直接頼んでもいいが、ホテルエメラルドなどの宿では斡旋もしてもらえる。
 またランカーズクシロなど現地の釣具店、鱒やのように釣り人が経営する宿から情報を仕入れる手段もある。もちろんネット上にも有用な情報があふれている。
 しかし知らない土地で自分達だけでポイントを開拓していくのも楽しい。そこは道東、水が流れていればたいていの場所にトラウトはいるのだから。

●プランニングの豆知識 1 長距離移動もらくらく
 釣りの旅なら現地での足はクルマ以外にありえない。ほとんどの方がレンタカーを借りるだろう。で、気になるのが「A点からB点までの距離と所要時間」だと思う。道東は釧路や網走といった市街地以外ではクルマの流れがおそろしいほどスムーズだ。数10kmにわたり信号がない道だって珍しくない。だから、たとえば60kmの道のりなら法定速度60km/hで走ればほぼ1時間で移動できてしまう。つまり本州では距離があって躊躇するような移動でも、道東ならば簡単にできるというわけだ。50kmやそこら離れたエリアでも1日のうちに無理なく釣り歩くことができるので、釣行計画策定の参考にしてほしい。
 もちろん北海道にも取り締まりはあるので速度違反には注意したいところだ。調子に乗って飛ばすと野生動物の飛び出しに出くわすこともあるので気をつけよう。実は私もエゾシカに・・・(涙)。なお移動の際の使用ルートや距離に関しては北の道ナビというサイトが参考になる。

●プランニングの豆知識 2 早寝早起きが鉄則
 道東の納沙布岬といえば日本の最東端。そのため名古屋や東京、大阪と比べると日の出・日の入がずいぶん早くなる。たとえば9月初頭では
<2007年9月1日の暦>
 *根室  日の出 4:41 日の入 17:54
 *名古屋 日の出 5:24 日の入 18:20
日の出はなんと約40分も早い。しかも緯度が高いため夏場は日の出前の薄明るい時間帯が長く(これが北極圏だと白夜になる)、夏至に近い時期だと体感として2時間近く、我々の住む名古屋より朝が早くなる。逆に秋分を過ぎてしまえば、今度は夜の帳が降りるのがとても早くなるのだが。
 だから効率よく釣りを楽しむには、早起きが必須。宿の朝食はパスして釣りに行くか、朝マズメを釣ってから一度宿に戻り朝食とするなど、プランニングをひとひねりしたい。我々のように夜遅くまで酒盛りし寝坊してしまってはイカンのだ本当は。

エアライン編

●道東は遠くない
 道東はそれほどアクセスの悪い土地ではない。セントレアからだとJAL釧路便、ANA女満別便が毎日一往復(冬期は休便あり)している。他にも県営名古屋空港からのJALとかち帯広便(帯広のある十勝支庁を道東に含める場合もある)を使って道東へ向かっても時間はさほどかからない。1泊2日は無理があるとしても、2泊3日あればかなり釣りを楽しめる。3泊4日で充実の釣行、それ以上ならばパラダイスを味わい尽くせるだろう。
 また時間に余裕のある方ならフェリーを使って北海道入りすれば、大荷物に煩わされることがないし、レンタカー料金もカットできる。所要時間を考えれば敦賀港ー苫小牧東港間の新日本海フェリーがオススメだ。なにしろ名古屋港ー苫小牧港を運航するフェリーだと、運賃はほぼ同じだが38時間以上もかかるから。苫小牧東港から道東までは5時間程度のドライブだと思う。
<2007年6月の運行時刻>
 *JAL セントレア 11:15→釧路 13:00 釧路 13:45→セントレア 15:40 片道39,100円
 *ANA セントレア 9:45→女満別 11:40 女満別 12:10→セントレア 14:15 片道40,600円
       ※寒い時期の女満別便は、運行時刻がこれより4時間ほど遅くなる
<2007年3月の運行時刻>
 *新日本海フェリー 敦賀 1:15→苫小牧東 20:30 苫小牧東 23:40→敦賀 翌日20:30
  乗用車片道32,000円(5m未満、1名分の2等運賃込、乗客は片道9,600円)

●道東は高くない
 肝心の予算だが、これも最果ての地に向かうというイメージの割には安く抑えられる。通常だと往復の航空運賃が8万円前後。ところがマメさと運をフル活用して手配すれば航空運賃を往復3万円以下に抑えることができるのだから。
  宿泊・食費・レンタカー・燃料などの費用は道東だろうがどこだろうがそう変わらず、標準的なプランで1日1万5千〜2万円。我々は3泊4日でお土産代以外ぜんぶ込み10万円を目安に、それより安く行ければ大成功と考えている。10万円ならたいていの方は、出費を少し抑えれば捻出は難しくないはずだ。

●安いエアチケットをGETするには?
 安く抑えるポイントはとにかく飛行機代を節約すること。それには次のような方法がある。
1.マイレージを使う
 各航空会社のマイレージ会員になってポイントを貯めまくる。クレジット機能付きカードにして、日頃の買い物や公共料金支払いはすべてカードを使おう。150万円使えば15,000マイル貯まるはずだ(キャンペーン等でそれ以下でOKな場合もある)。これで国内無料往復航空券がGETできる。つまりタダ!問題は観光シーズンでは無料航空券の設定がない場合があること。そしてメンバー全員揃って無料航空券を獲得するのが難しいことだ。
2.もうひとつのマイレージの使い方
 JALでは「おともdeマイル割引」、ANAでは「いっしょにマイル割」 と呼ばれる割引システムを使う。これは誰かが自分のマイレージ10,000マイル(ANAは11,000マイル)を使えば、自分には往復無料航空券が与えられ、さらに同行者3名までの往復運賃が25,000円になるというもの。予約可能なのが搭乗14日前〜4日前と限られているのでなかなか使えないが、急にスケジュールが空いた場合などにはたいへんオトクだ。
3.バーゲン運賃を使う
 JALでは「バーゲンフェア」、ANAでは「超割」と呼ばれる定番の割引運賃。期間限定だがセントレアから道東へ片道12,600円(2007年4月より空港利用料込み14,200円に値上げ)で行ける。往復利用というシバリがないので、行きはANA女満別便、帰りはJAL釧路便と使い分けることだって可能だ。大人気のシステムゆえなかなか予約が取れないのが問題。しかも経営難のJALでは、そもそも道東便に設定がなかったりする。
4.旅割を使う
 JALでは「先得割引」、ANAでは「旅割」 と呼ばれる新手の割引運賃。季節や便により割引率は大きく異なるが、少なくとも通常の往復割引運賃よりは安くなる。秋冬の便なら片道2万円程度までプライスダウンされる。搭乗28日前までに購入が必要。これも片道ずつ購入できる。(2007年9月〜10月はJALセントレアー釧路便において「先得割引」の設定がなくなっている。なおANAセントレアー女満別便には設定されている)
5.宿泊付き航空券を使う
 旅行代理店経由で購入できる中で、おそらく最も安いのが宿泊付き航空券。これには往復の航空券プラス宿1泊がセットされている。日程はふつう1泊2日から2週間くらいの間で自由に選べる。そして付いてくる宿はその間のどの日に泊まってもOK。残りの日の宿は別途代理店で手配しても、自分で手配してもいい。我々がよく利用する東北海道トラベルの「阿寒湖フィッシングツアー」もその一種で、釧路便または女満別便に、阿寒湖畔の宿での1泊がセットされている。季節や曜日、選ぶ宿によって異なるが、9月なら料金は4万円前後(2006年の場合。2007年からは5万円以上になりそうだ、いや設定がほとんどないかも?)で、旅割運賃で往復するよりもはるかに安い。
 ただし昨今の燃料価格高騰、JAL経営難の影響を受けて、どの割引運賃も設定席数が少なくなっている(バースデー割引にいたってはJAL、ANAともやめてしまった。夏場は往復割引さえない)。日程が決まったらとにかく早めに予約購入することだ。航空会社マイレージ会員の先行予約特典もフル活用したい。いずれにせよお盆やGWには、割引チケットはほとんど確保できないと覚悟した方がいいけれど。


思いつくままに書いてみたが、まだ書き加えるべきことが出てくるかもしれない。その際は随時原稿を更新していくのでお楽しみに。また不明な点があれば何でもご質問ください。なお本稿で紹介している運行時刻や運賃はすべて2007年3月に調査したもので、改定される可能性があることをご承知ください。

2007/03/11 佐藤ノブヲ (08/07加筆)

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